Japanische Klassiker mit Furigana
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やこうちゅう
夜光虫
織田 作之助
Lesen Sie 夜光虫 (やこうちゅう) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 66.871 Zeichen · 134 Bildschirme
一人前の掏摸になるネやったら、おっさんの云うことをきいたら、間違いない。まず刺青をするこっちゃ。ええ顔の掏摸になれるぜ」
「…………」
「どや、もっと食べるか」
と、針助はまたパンを出した。
「おっさんとこイ来たら、いつでもパンを食べさせたる」
「おおけに……」
「それから……」
と、にやりと笑って、
「――刺青をしたる」
「えっ……?」
刺青ときいて、次郎と三郎はまるで腰を抜かしてしまった。
「刺青はして貰わんでもかめしめへん」
次郎はあわてて言った。
「なんぜや」
と、ガマンの針助は云った。
「なんぜかテ……。刺青みたいなもンしたら、母ちゃんに叱られま」
「なんぜ叱られるねン」
「なんぜ言うたかテ、刺青いうたら、まともな人間のするもんと違いまっしゃろ」
次郎はませた口調だが、さすがに少年らしくぶるぶるふるえた声で言った。
「そら考えちがいやぜ」
と、針助はネチネチとした口調で、言いきかせるように、
「――刺青いうたら、ええもんやぜ。だいいちお前ら掏摸になるネやったら、刺青の一つぐらいしとかんと、幅が利かん。刺青をしてるのンと、してへんのと仲間での顔の売れ方がちがう。ええ兄貴分になろうおもたら、刺青にものを言わすのが一番やぜ」