Japanische Klassiker mit Furigana
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やこうちゅう
夜光虫
織田 作之助
Lesen Sie 夜光虫 (やこうちゅう) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 66.871 Zeichen · 134 Bildschirme
いつもの豹吉なら、そんなに狼狽しなかった筈だ。そんなに警官を怖れなかった筈だ。
「ところが、今夜のおれと来たら……」
と、豹吉は自分の醜態にあいそがつきるくらいだった。
「――なぜ、こんなに怖れるのか」
と、考えて、豹吉はどきんとした。人を殺したからだ。
早朝、渡辺橋の横で魚を釣っていた男(読者にはもはや明瞭と思うが、実は伊部恭助である)を、いきなり川の中へ突き落してしまったのだ。
動機といっても、べつに大した動機ではない。ただ、
「何かこう人をあっといわすような、意想外の、破天荒なことをしてみたい」
という単純な思いつきに過ぎなかったのだ。
横紙破りの、ちょっと他人には真似ることの出来ないいたずらだったから、やってみると、快感はあったが、しかし、そのいたずらが結局殺人行為となってみると、いかな豹吉でも、さすがに薄気味悪い後味は心の底に残っていた。
そして、そんな自分をあざ嗤っていた。
「なんや、怖がってるのンか。青蛇団のペペ公といわれるおれともあろうものが……」
そう呟いた途端、豹吉は急にひょんなことを思いついた。
「――そや、もう一ぺん渡辺橋イ行ってやろう」