Japanische Klassiker mit Furigana
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ゆめのようなひるとばん
夢のような昼と晩
小川 未明
Lesen Sie 夢のような昼と晩 (ゆめのようなひるとばん) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 2.487 Zeichen · 5 Bildschirme
いつであったか、少年は、おばあさんの家で、これと同じ薬を煎じるかおりを、かいだ記憶がありました。そのおばあさんは、もう亡き人であるが。はるかな駅を出発するらしい汽車の、笛の音がしました。さびしくなって、内へはいると、お母さんは、ひとり燈火の下で、お仕事をしていられました。
「前のおねえさん、かぜをひいたのかしらん。」
「どうして?」
「お薬のかおりがして、窓が暗いのだもの。」
「そうかもしれません。かぜがはやりますから。」
お母さんは、そうおっしゃっただけでした。少年だけは、いつまでも同じことを考えていました。
「お母さん、月は、去年の春とちがって、あたりがあんな焼け跡になったので、びっくりしたでしょうね。」と、少年がいいました。
「昔から、戦争があると、こんなことがたびたびあったのですよ。平和な春の晩にはお琴の音がしたり、お茶をにるかおりがして、歌にも『あおによし奈良の都は咲く花の、におうがごとくいまさかりなり』と、たたえられた都も、今はあとかたなく、草がぼうぼうとしているのですから、考えれば、ほんとうにさびしいものです。」
「戦争がなければ、いいんですね。