Japanische Klassiker mit Furigana
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ゆめじゅうや
夢十夜
Lesen Sie 夢十夜 (ゆめじゅうや) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.992 Zeichen · 33 Bildschirme
顔も寝ぼけている。色沢が気の毒なほど悪い。それで御辞儀をして、どうも何とかですと云ったが、相手はどうしても鏡の中へ出て来ない。
すると白い着物を着た大きな男が、自分の後ろへ来て、鋏と櫛を持って自分の頭を眺め出した。自分は薄い髭を捩って、どうだろう物になるだろうかと尋ねた。白い男は、何にも云わずに、手に持った琥珀色の櫛で軽く自分の頭を叩いた。
「さあ、頭もだが、どうだろう、物になるだろうか」と自分は白い男に聞いた。白い男はやはり何も答えずに、ちゃきちゃきと鋏を鳴らし始めた。
鏡に映る影を一つ残らず見るつもりで眼をっていたが、鋏の鳴るたんびに黒い毛が飛んで来るので、恐ろしくなって、やがて眼を閉じた。すると白い男が、こう云った。
「旦那は表の金魚売を御覧なすったか」
自分は見ないと云った。白い男はそれぎりで、しきりと鋏を鳴らしていた。すると突然大きな声で危険と云ったものがある。はっと眼を開けると、白い男の袖の下に自転車の輪が見えた。人力の梶棒が見えた。と思うと、白い男が両手で自分の頭を押えてうんと横へ向けた。自転車と人力車はまるで見えなくなった。鋏の音がちゃきちゃきする。