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Japanische Klassiker mit Furigana

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あやかしのつづみ

夢野久作怪奇幻想傑作選 あやかしの鼓

夢野 久作

Lesen Sie 夢野久作怪奇幻想傑作選 あやかしの鼓 (あやかしのつづみ) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 76.558 Zeichen · 153 Bildschirme

Aozora Bunko

私はそんな光景を見まわしているうちに、何故ということなしに、その森林が、たまらない程恐しいものに思われて来ました。……今聞こえた銃声が敵のか味方のか……というような常識的な頭の働らきよりも、はるかに超越した恐怖心、……私の持って生れた臆病さから来たらしい戦慄が、私の全身を這いまわりはじめるのを、どうすることも出来ませんでした。……一面にピカピカと光る青空の下で、緑色にまん丸く輝やく森林……その中で突然に起って、又突然に消え失せた夥しい銃声、……そのあとの死んだような静寂……そんな光景を見つめているうちに、私は歯の根がカチカチと鳴りはじめました。草の株を掴んでいる両方の手首が氷のように感じられて来ました。眼が痛くなるほど凝視している森の周囲の青空に、灰色の更紗模様みたようなものがチラチラとし始めたと思うと、私は気が遠くなって草の中に倒れてしまいました。もしかするとそれは股の出血が非道かったせいかも知れませんでしたけど……。

それでも、やや暫くしてから正気を回復しますと、私は銃も帽子も打ち棄てたまま、草の中を這いずり始めました。草の根方に引っかかるたんびに、眼も眩むほどズキズキと高潮する股の痛みを、一生懸命に我慢しいしい森の方へ近づいて行きました。