Japanische Klassiker mit Furigana
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あやかしのつづみ
夢野久作怪奇幻想傑作選 あやかしの鼓
夢野 久作
Lesen Sie 夢野久作怪奇幻想傑作選 あやかしの鼓 (あやかしのつづみ) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 76.558 Zeichen · 153 Bildschirme
私も東京を出て初めて大きな声で笑った。
それから後私は鶴原未亡人に似た女ばかり探した。芸妓。舞妓。カフェーの女給。女優なぞ……しまいには只鼻の恰好とか、眼付きとか、うしろ姿だけでも似ておればいいようになった。それから大阪に行った。
大阪から別府、博多、長崎、そのほか名ある津々浦々を飲んでは酔い、酔うては女を探してまわった。昨夜鶴原未亡人に丸うつしと思ったのが、あくる朝は似ても似つかぬ顔になっていたこともあった。その時私は潜々と泣き出して女に笑われた。
酔わない時は小説や講談を読んで寝ころんでいた。そうしてもしや自分に似た恋をしたものがいはしまいか。いたらどうするだろうと思って探したが、生憎一人もそんなのは見付からなかった。
そのうちに二年経つと東京の大地震の騒ぎを伊予の道後できいたが、九段が無事ときいたので東京へ帰るのをやめて又あるきまわった。けれども今度は長く続かなかった。私の懐中が次第に乏しくなると共に私の身体も弱って来た。ずっと以前から犯されていた肺尖がいよいよ本物になったからである。
久し振りに、なつかしい箱根を越えて小田原に来たのはその翌年の春の初めであった。