Japanische Klassiker mit Furigana
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たいしょうじゅうにねんくがつついたちよりのとうきょう・よこはまかんたいしんかさいについてのきろく
大正十二年九月一日よりの東京・横浜間大震火災についての記録
宮本 百合子
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N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.429 Zeichen · 19 Bildschirme
◎隅田川に無数の人間の死体が燃木の間にはさまって浮いて居る。女は上向き男は下向、川水が血と膏で染って居、吾嬬橋を工兵がなおして居る。
◎殆ど野原で上野の山の見当さえつけると迷わずにかえれる。
○本所相生署は全滅。六日夜十一時頃、基ちゃんが門で張番をして居ると相生署の生きのこりの巡査が来、被服廠跡の三千の焼死体のとりかたづけのために、三十六時間勤務十二時間休息、一日に一つの玄米の握り飯、で働せられて居る由。いやでもそれをしなければ一つの握り飯も貰えない。
地方から衛生課長か何かが在郷軍人か何かをつれて来たそうだがあまり恐ろしい有様におぞげをふるって手を出さず戻ってしまい人夫も金はいくらやると云ってもいやがってしない。ために巡査がしなければならない。
○焼け死んだ人のあるところは、往来を歩いただけでも匂いでわかる。変に髪のこげたような匂いとその、ローストビーフのようなところ等。そして、みな黒こげで、子供位の体しかなくもがいた形のままで居る。只足の裏だけやけないので気味がわるい。
○橋ぎわに追い込まれ、舟につかまろうとしても舟はやけて流れるのでたまらず、溺れ死ぬ、或は、他に逃げ場を失って持ち出した荷物に火がつき、そのまま死ぬ、被服廠の多数の死人も、四方火にとりかこまれた為、空気中に巨大な旋風が起り、火をまきあげ