Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.722 Zeichen · 286 Bildschirme

Aozora Bunko

これは、水につけて蔭干しにして、やわらかくもみ上げた奉書の紙で、これで刀剣の中身をぬぐうのだとは、お銀様もちゃんと知り抜いているので、かたえに刀剣がある以上は、ドコかにこれがなければならない――

それは、家があれば台所のあるのとおなじことで、お銀様も、幾度か、机竜之助のために、この紙を用意してやった覚えがあるのですが、現在、ここにあるこの紙は、お銀様がこしらえてやったものではありません。

そう思って見ると、自分が常にこしらえてやったものよりは、揉み方がやわらかである――お銀様は、急にその香箱を持って、自分の鼻先に持って来ると、紛として立ちのぼる香りは椿油の香いであります。椿の油は、刀剣を愛する人の好んで用うるものであると共に、髪の毛の黒いことを望む女の人は、誰でもこれを珍重しますから、ドチラにしてもその香いは不自然ではありません。

けれども、お銀様は、その油の香いが嫌でした。この場合、お銀様には、奉書の紙の揉み方のやわらかいのが癪にさわったと見え、この紙を取り上げてズタズタに引裂いた時です、

「お嬢様――」

と弁信法師のおとずれの声が聞えたのは――