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Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.722 Zeichen · 286 Bildschirme

Aozora Bunko

と思って、見廻しているうち、ふと、お銀様の眼にとまったのは、床の間に立てかけであった、長い白鞘物です。これは、お寺の床の間には似つかわしからぬもので、今までお銀様が気がつかなかったのは、燈火の具合で、隅の柱に隠形の印をむすんでいたからです。

お銀様は、ようこそあれと、その白鞘の長物をとって、自分の膝の上まで持って来ましたが、やがて行燈の下で、半分ばかり鞘を抜き出してながめ入ったものです。

この時とても、お銀様はいつもするように、頭巾をまぶかにかぶっていたし、山をのがれてきたのにかかわらず、着物の着こなしは端然たるものです。

お銀様の眼が怪しくかがやきだしたのは、それから後のことで、息をはずませながら、刀をもとのままにおさめて、もとあったところへ置く手先がふるえているのも不思議でしたが、刀を置いた手を、すぐに棚の戸にかけて、スルスルと押し開くと、中をながめていましたが、手をさしのべて、中から引き出したのは、若い娘などの持ちたがる蒔絵の香箱であります。

それを、大事そうに、以前のところまで持って来たお銀様は、嫉むような目つきと、おそれをなすような胸のさわぎで、箱の蓋を払って見ましたが、中にはやわらかな紙が二三枚、丁寧にたたんで入れてあるだけのものでした。