Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.722 Zeichen · 286 Bildschirme

Aozora Bunko

馬鹿な奴だ! 意気地のない骨頂の奴だ。つまり富裕な後家さんからたらされたのを機会に、甘い汁を吸おうと思って、御意に従ったのが仇となり、さんざん、おもちゃにされて精根を吸い取られ、逃げ出しては取つかまり、取つかまり、どうにもこうにも所在が尽き果てて、人の顔を見れば助けを求めているのだ。そこで竜之助は、

「せっかくですが、拙者にも智恵がありません」

男は泣かぬばかりに、

「弱りました、全く弱りました、この分では、私は殺されてしまいます……いっそ、女を殺してと思いましたけれど、私にはそれだけの力がございません、ああ、もうやがて帰って参りましょう、私は、怖ろしうございます、私はあの女の息をかぐのが、大蛇の息をかぐような気持がします、あの女にそばへよられると、道成寺の鐘のように、私の身が熱くなって、ドロドロにとけてしまいそうなんでございます、眼がまわります、苦しうございます」

五十を過ぎてあぶらぎった好色婆のために、取って押えられて、人目も恥じず、悶え苦しむ有様は、むしろ悲惨の極であります。

久しぶりで竜之助の顔に、微笑が浮みました。

「何がそれほど苦しいのです、そんなに人を苦しめる奴は、懲らしておやりなさい」