Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 159.272 Zeichen · 313 Bildschirme
弁信さん、あなたはこの世界は暗いものと、最初からきめておいでになりますのに、あの先生は、暗いのがお好きか、明るくしたい御料簡なのか、わたしにはさっぱりそれがわかりません」
十六
その翌々日、お雪はまたあわただしい思いで筆を執りはじめました。
「弁信さん――
前の手紙をまだ、あなたのところに差上げる手段もつかないうちに、わたしはまた大急ぎで、継足しをしなければならない必要に迫られました。
先日の手紙にありましたでしょう――わたしが、無名沼から帰る時に、低い笹原の中で浅吉さんにゆきあったことを。そうして、わたしが言葉をかけたのにあの人は何の返事もなく、螢のような真蒼な面をしてゆきすぎてしまったことを。
あれから今日で三日目です。浅吉さんが帰りません――いいえ、帰りました。帰りましたけれど驚いてはいけません、あの人は、とうとう死んでしまいましたのよ。
それが、どうでしょう、ところもあろうに、あの無名沼の中で……捜して引き上げて来た人たちの話によると、まあ、わたし、どうしていいかわからなくなります。丁度、わたしが立っていた離れ岩の下の、絹糸のような藻の中に、浅吉さんの死体が、絡まれて、水の中へ幽霊のように、浮いたり、沈んだりしていたということです。