Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 159.272 Zeichen · 313 Bildschirme
なお「塩市」とは何だと尋ねてみると、これにはまた一つの歴史的の由緒がある。
甲斐の武田信玄と、越後の上杉謙信とが、この信濃の国で争っていた時分、信玄の背後をうかがう東海道筋から塩を送らない。甲斐も、信濃も、海の無い国。人民これがために苦しむの時、前面の敵、上杉謙信がこれを聞いて、武田に使を送って曰く、吾と君と争うところのものは武勇にあって、米塩にあらず、南人もし塩を送らざれば北塩を以て君に供せん――といって価を平らかにして信玄の国へ塩を売らしめたというのは、史上有名なる逸話であります。
信濃の人、その時の謙信の徳を記念せんがために、この「塩市」があるのだという。
事実は果してどうか知らん。例年は正月の十一日は大法会があるはずなのが、去年は諒闇のことがあったり、天下多事の際、遠慮してこの秋まで延ばされたものらしい。
そこで、いつものように花やかには執り行われないが、人気というものはかえって、こんな際に鬱屈するものだから、底景気はなかなか盛んであるらしい。
その盛んな市中を通り抜けて、浅間の温泉へ行き、兵馬を鷹の湯へ預けておいて、仏頂寺と丸山は城下へ引返し、二人は市中の景気を見ながら、各道場へ当りをつけ、兵馬は温泉場に止まって、その内部を探ろうという手筈。