Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 254.021 Zeichen · 495 Bildschirme
「何でもいい、要するに、こっちには、面白くおかしく話して聞かせるほどの世間話も、身の上話もないが、君の方は世間慣れているから、種があるだろう、何でも、心任せに話してくれないか、修行中の僕等は、なんでもかでも善智識の教えとして聞くよ。少なくとも、君は僕より年が幾つか上だ、先輩だと思って尊敬して聞くから、何でも話してくれ給え、それを身にするか、骨にするかは、こっちの聞き方一つなんだ、悪口、結構、惚気をやるも苦しくない――話し給え、話し給え、こっちは聞き役だ」
と兵馬は、かなり歯切れよく言いましたものですから、女も諦めたと見えて、
「それでは一つ、面白い話をして聞かせますから、聴いて頂戴――」
と言って、腹ばっていた女は煙管をほうり投げて、くるりと寝返りを打ち、箱枕を、思いきってたっぷりした島田くずしの髱で埋めて、蒲団をかき上げるようにして、ちょうど兵馬の坐っている方とは後向きに寝相を換えたのですが、その時、肩から背筋までが、わざと衣紋を抜いたように現われたのを、そのまま、あちら向きで話しかけました。
おなじ話をはじめるならば、寝ているにしてからが、こちらに向き返って話したらよかりそうなものを、わざとあちら向きになって改まったのは、襟足や、首筋や、肩つきを、思い切って開けっ放して見せつけた失礼な仕打ちだ。