Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠10

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠10 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 285.635 Zeichen · 558 Bildschirme

Aozora Bunko

「ちぇッ、世話の焼けた先生だなあ、人に助けられるばかりが能じゃねえや、ちっとは人も助ける気になれねえものかなあ」

米友は、五たび、六たび、そこで地団太を踏みました。ほんとうに米友の口惜しがる通りです。尋常に自分も道庵先生のともをして歩きさえすれば、こういうところには、思いきり溜飲が下げられたものを。自分たちが溜飲を下げて痛快を買うのみならず、人の一人が立派に助かって、その功徳と感謝は、測り知らるべきものでもないのに、みすみすその機会を逸して……口惜しい。人を打懲らし、取挫くの力においては自信の有り余る米友が、人を救う段になると、溺死人の一人をどうすることもできないのを、身も世もあらぬほどに口惜しがって、

「ちぇッ、その立派な医者を、おいらがひとつ探して来るから、それまで死なさねえようにして置きな」

と言い置いて米友は、驀然に走り出しました。

どこを当てともなく走せ出しましたが……このいい残して置いた言葉は無理です。

道庵先生、いかに神医なりといえども、いつどこで探し出されるか知れないものを、そのあてどのない尋ね人を探して来るまで、死ぬべきものを死なさずに置けとは、米友の注文が無理です。