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Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠11

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠11 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 368.567 Zeichen · 720 Bildschirme

Aozora Bunko

ことに違いないと邪推し、両々甚だ気まずい空気が漂って来たが、おたがいになんらの証跡をつかまえているわけではないから、口に出す者はありません。

番附の紛失が、奥女中同士の中へ、こんな暗雲を捲き起し、深い堀をこしらえようとはしているが、もし、これが仮りに番附の紛失だけにとどまって、長局全体の被害が救われたこととすれば、勿怪の幸いであったと見なければなりません。

たとえば、化政から天保の頃にはやった、大名高家の大奥や、長局を専門にかせいだ鼠小僧といったような白徒があって――昨晩、この長局をおかしたとすれば、それは一枚や二枚の番附ではすむまい。かけがえのない宝を盗まれたり、取返しのつかない負傷をさせたり、お役目向に責任者が続出したり、それやこれやで容易な騒ぎではおさまるまいに、まあ番附の一枚や二枚が、見えたり隠れたりしているうちは、問題とするに足るまい。

だが、有ったものが無くなったということは気になる。場所柄が長局であるということと、それと、ここでは誰も知った者のあろうはずはないが、昨今、この城下へ姿を現わした、あのイケしゃあしゃあとした、いや味たっぷりの、色男気取りの、向う見ずで、意気地なしの、がんりきの百というやくざ者の姿を思い浮べてみると、いい気持はしない。