Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠11
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠11 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 368.567 Zeichen · 720 Bildschirme
、そのことを、あなたの前では申し上げなかったでしょう、ところがその御大病の方が、このごろは短笛――尺八ですな、あれをおやりになろうということですから、御病気も大分、およろしくなったのでしょう……と拙者はじめ思いました」
「ほんとうにおかげさまで、近頃は、めっきりよくなったようでございます」
「それでは、やはり、あの尺八は、あなたのお連れの御病人の方がお吹きになるのですね」
「そう、お尋ねを受ければ、左様でございます、と申し上げるほかはございません」
「そうですか……」
北原はここで、また沈黙して、暫く尺八の音に聞き入っていました。
お雪も、尺八の音が起ってから、なんとなく、そわそわしたけれど、こうなっては急に立ち上るもバツが悪し、その主をそうだと名乗ってしまう以上は、なんだかちょっと荷も下りたような気がしますものですから、同じように、尺八に耳を傾けておりました。
「やはり鈴慕ですね」
「はい」
北原はこの時、ほとんど感に堪えたようでありましたが――その途端といってもいい時、ハタと尺八の音がやみました。
その時、お雪は、急に引寄せる綱にでもたぐられたかのように、あわただしく立って、