Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠11

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠11 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 368.567 Zeichen · 720 Bildschirme

Aozora Bunko

「何か怖い夢でも見たのかね」

「いいえ、夢ではありません、わたしは、今夜という今夜こそ、あのマドロスさんに、ひどい目に遭わされました」

「え!」

この時、なぜか駒井がギョッとして胸が騒ぎました。女は息をはずませながら、

「ちょっと先、戸があくような音がしましたので、ふと、眼をさまして見ますと、誰か、わたしの傍へ来ておりました」

「うむ」

「茂ちゃんならば、入りさえすれば、言葉をかけるのに、あんまり静かに入って来たものですから、わたしは、もしや……と思って」

「うむ」

「ところが、どうでしょう、今まで静かであったその人が、急に獣のように荒れ出して、わたしの体をおっかぶせてしまいましたから、わたしは声を立てることも、息をすることもできません、けれども、この悪い獣のような奴が誰だかということは、直ぐにわかりました、ほんとに獣です、人間じゃありません、あのマドロスの畜生です、あれのために、わたしは全く身動きも、息をすることもできなくなったから、助けて下さいと救いを叫ぶこともできやしません」

「うむ」

駒井は、うめくように答えます。

「ホントに口惜しい!」

もゆる子は歯噛みをして、息をはずませている。