Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠11
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠11 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 368.567 Zeichen · 720 Bildschirme
「それはそれは、存じませぬ事ゆえ、お見舞も致しませんで失礼いたしました」
「こちらへ引籠りましてからは、どなたへもお知らせを致しませぬ、諸方からお見舞を頂くことをかえって恐れておりました」
「それにしても、同じく柳生殿の道場通いを致しました私にだけは、お知らせ下さらないことを恨みに存じます」
「そのことは何とも申しわけがござりませぬ、あれも常にあなたのことをお噂しておりましたから、今日おいでになったことを、どのくらい喜びますか」
「それでは、これから御病床へお見舞に上ってよろしうござりますか」
「病床での失礼をお許し下さるならば、御案内をいたしましょう。まあ、お茶一つ召上れ」
といって奥方は、女中の運んで来たお茶を取って与之助にすすめました。
「頂戴をいたしまする」
有難くお茶を飲んで控えていると、
「よくここがお分りになりましたね」
「はい、名古屋へ参ってお尋ねをいたしましたところ、当節はこちらだということで、直ぐさまお伺い致した次第でございます」
「名古屋へは何ぞ御用でおいでになりましたか」
「はい……実は申し上げ兼ねるのでござるが、申し上げないとかえってお疑いをあそばすかも知れません、私事はこのたび岡崎を立退いてまいりました」