Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠11
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠11 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 368.567 Zeichen · 720 Bildschirme
お気の毒なことには、天地間にその滑稽を見て笑い手が無い、まさに滑稽の持腐れ。ここに出没している御当人と、その為しつつあることが、まさにその滑稽の持腐れに似ている。
滑稽の持腐れも、かなり楽な仕事ではないらしい。
化け物なら知らぬこと、人間である以上は、二分間より以上の潜水は至難のことでなければならない。ところがこの滑稽なる出没は、どうかすると二分間以上沈んでは、また浮き上ることもあるから、その都度都度の呼吸はかなり切迫しているらしく、浮袋にしがみついた瞬間は、全く命からがらと見なければならないのですが、それがどうも、滑稽としか見えないのは、この人物の持味の、幸と不幸との分れ目でしょう。
見る人が無い、笑う人が無いから、この滑稽の持腐れは思いきって発揮される!
浮き出す度毎に、その無恰好に大きな頭の赤毛の揺れっぷり、苦しがって潮を吹く口元、きょろきょろと見廻す眼鏡の巨大なのと、その奥の眼の色の異様なのも、物それを少しも怖ろしくしないで、いよいよ滑稽なものにする。
これぞ前名のウスノロ氏――今や駒井造船所の新食客マドロス君その人であると知った時には、見る人の口が、唖然としてふさがらないことと思います。