Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠16

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠16 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 268.946 Zeichen · 520 Bildschirme

Aozora Bunko

なお押しつめて申しますと……」

五十七

「生れない方が幸福であったり、産まないがかえってお慈悲じゃないかとさえ、わたしは思われてならないことがあるのですが……」

「なるほど」

「産んで苦労をさせるくらいなら、苦労をさせないうちに――いいえ、この世に産み落さないことにしたのが、結局いちばん幸福じゃないかと思われてならないこともあるのでございます」

「なるほど、そりゃあ――そりゃ話が元へ戻るが、元へ戻るほど根が太くなる!」

と道庵が言いました。元へ戻るほど根が太くなるという言葉だけは論理に合っているのですが、道庵が何のために突然、右様な論理を持ち出したのか、そのことははっきりしません。ただ、単純に樹木にしてからが、根元へ来るほど太くなるという現前の事実が平明に突発してみたのだか、或いはお雪ちゃんの提出した根本問題が、ようやく重大なるものに触れて行くことを怖れたのだか、その辺は相変らずハッキリしないものであるが、多少の狼狽気味は隠せないものがあるようです。実は前々お雪ちゃんから左様な、性と生との根本問題をかつぎ出されていちずに共鳴感奮してみたものの、この問題をあんまり深く追究されると、自分の焼刃が剥げることの怖れから、冗談に逃げていたのを、また引戻されて押据えられる苦しさに、道庵がうめき出したようにも聞き