Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠16
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠16 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 268.946 Zeichen · 520 Bildschirme
また妙な緞帳臭いセリフがはじまったが、お雪ちゃんは存外それに引きずられませんでした。
「つまり、なんでございますね、これからこの世の光を見せようという親の立場になり、これからこの世の苦労を味わわされようとする子というものの立場になってみてでございますね」
「ふん、なるほど、してみるてえと、母の胎内にある子のために、また、その胎内に子を持つ母のためにってなことになるのかね」
「まあ、そうでございますね、最初に申し上げたでしょう、子を産むことは必ず目出たいこととされていますけれども――そういう場合に、本当の意味では、生れるが目出たいか、産むのが目出たくないか――というような理窟になりますか知ら」
「じゃ、かりに目出たくないとするとどうだね」
「なら、いっそ、親として産まないのが善いことであり、子として生れないのが善いことじゃないでしょうか」
「はてな」
道庵は仔細らしく小首を傾げて、
「はて、お雪ちゃん、お前さんの質問が、深刻なようで上辷りがし、上辷りがしているようで存外深刻でもあり、ちょっと、迷わされるがね、早い話が、結局こういうことになるんじゃねえか、どうも、そうなりそうだよ、つまり、お雪ちゃんの今の質問は論じつめると、子供が母の胎内にあるうちに、卸しちまった方が、子供のためにも、母のためにも、幸福じゃないか――こう