Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

だいぼさつとうげ

大菩薩峠16

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠16 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 268.946 Zeichen · 520 Bildschirme

Aozora Bunko

「ア、痛ッ!」

と不覚の叫びを立てたのは、相手の女ではなくてかえって自分でした。

「憎らしい!」

女は今まで両の袂で後生大事に抱きかかえこんでいた兵馬の両刀を、左の片袖だけで抑え換えて、そうして、右の片手をのべると、いきなり、苛立って立ちかけていた兵馬の左の股のところを――イヤというほど――つねりました。武術鍛錬の兵馬が、もろくもこの不意打ちを食って、「ア、痛ッ!」「憎らしい!」

今晩のこの女は、憎らしい! と、口惜しい! との連発です。

思うさま不意打ちを食わして、兵馬を痛がらせた福松は、ここで、やや勝ち誇った気位を取り返し、

「それ、ごらんなさい」

何がそれごらんなさいだか、兵馬には一向わからないのを、福松どのは畳みかけて、

「痛かったでしょう――わが身をつねって人の痛さというのがそれなんですから、よく覚えていらっしゃい。あなたという人も、このごろは相応院の離れ座敷で、お安くない世話場を見せていらっしゃるんですってね、相手はお雪ちゃんといって――知っていますよ、知っていますよ。いいえ、お隠しになっても、もう駄目です、そのお雪ちゃんという可愛ゆい子を、あの助平のお代官の手から、助けたり、助けられたりがもとで、お二人が水入らず、近いうちに御両人がまた手に手をとって道行という筋書まで、ちゃんとわたしには読めており