Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠16
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠16 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 268.946 Zeichen · 520 Bildschirme
ますのよ――憎らしい! 口惜しい! 覚えていらっしゃい」
また刀を一方の袖だけに持たせて、右の手をさしのべて――それは以前よりもいっそう手強く兵馬の股を抓み上げてやる気で出した手を、今度は兵馬も容易くそうはさせません。
「何をなさる」
と言って、その手をぐっと抑えたが、思いの外に軟らかな手ざわりなのに、抑えた兵馬の方がかえってギョッとしました。
八
きまじめな宇津木兵馬は、そこで福松のために、自分とお雪ちゃんとの間が、決してそんなわけのものでないことを説明しました。
それから、お雪ちゃんの立場の気の毒であることをよく話して聞かせ、しかもこのお雪ちゃんも、つい数日前に自分には何とも告げずに行方不明になってしまったことによって、自分の心配がいっそう加わっていることなどを、細かに話して聞かせると、最初から妬け気味で聞いていた福松が、だんだん釣り込まれて、お雪ちゃんのために同情を表すると共に、兵馬にとって好意を持ち――はじめから悪意なんぞは持っていなかったのですが、少なくともその不真面目な、からかい気分を投げ捨ててしまいました。
そこで、質に取った両刀も無事に返してもらい、この遅くなって帰るという兵馬をも引止めないで、素直に送り出してくれたのです。