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Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠2

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠2 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.601 Zeichen · 387 Bildschirme

Aozora Bunko

そうして、あなた様にお心当りとおっしゃるのは……」

物狂わしいムク犬は、またしてもここを捨てておいて、土間を突き抜けて裏口へ廻ってそこで烈しく吠えます。

「まあ、騒々しいことといったら」

お玉は、どうにもムク犬が制し切れないので困っていると、行商体の男は、ジロリとお玉の面から家の中を一廻り見廻して、

「お玉さん、お前さんこのお家に一人かね」

なんだか薄気味の悪い問いぶり。

「ええ、ここは一人、向うが叔父の家」

「そうしてなにかえ、ゆうべ備前屋から帰りに連れがあったのかえ、それとも一人で仕事をして帰ったのかえ」

「連れがあったかとおっしゃるのは……」

「とぼけるな、お玉御用だ!」

懐ろから飛び出した銀磨きの十手。

「あれ――」

お玉の細い腕を逆に取る時、雷電の一時に落つるが如く飛び来った猛犬ムクは、物も言わせず大の男を縁より噛み伏せてしまいました。

「まあ、どうしたと言うんでしょう、わたしにはわからない、わたしにはわからない、わかりやしない」

お玉はあまりのことに、飛び上って、突っ立ったきりです。

行商体の男の有様こそ無惨なもので、面の全部を腮から噛まれて、銀磨きの十手を抛り出してそこへ突んのめってしまったのを、ムクはそのまま噛捨てにして、クルリと身を転ずるや、またしても土間を突き抜けて驀然に裏口へ飛んで行きました。