Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠2
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠2 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.601 Zeichen · 387 Bildschirme
エーと、宇津木様の舟が帰って来たのだろう」
「そうだろう」
「材木場を取捲いた提灯が一度に海辺へ出たぞ、海へ何か抛りこむ音がするようだ」
「海へ逃がしちゃあ、ちっと捕りにくいな、水が利く奴だと陸より海の方がよほど逃げいいから」
「やれやれ、御用提灯をつけた舟が二三ばい漕ぎ出したぞ」
「こりゃあ、向う岸の火事で済ましちゃいられなくなりそうだ」
この時、早櫓でもって、矢を射るようにこの若山丸の船腹近く漕ぎつけて来た一隻の伝馬は、篝火もなし、提灯もなし、ほとんど船の人も気がつかないでいるうちに、この船の腹のところへすうっと漕ぎつけたのでありました。
「おーい、船頭の助蔵どんはいるかい」
「うむ、俺をお呼びなさるは誰だえ」
「船大工の与兵衛だ」
「おお、与兵衛どんか」
「大急ぎで頼みてえことがある、通してもらいてえ」
「合点だ、それ梯子を下ろしてあげろ」
船大工の与兵衛老爺とこの船の船頭の助蔵とは、入魂の間柄と見えました。
船へ上って来た与兵衛は、助蔵の耳に口、
「助蔵どん、なんにも言わずに人を預かってもれえてえのだ」
岩まで行って見たけれども、お松はそこで兵馬に会うことができませんでした。