Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠2
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠2 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.601 Zeichen · 387 Bildschirme
それを聞きつけると子供はもう嬉しそうに飛びかかって、
「与八さあん――」
父を知らず、母を知らずと言った児は、父と母とを一緒にしたよりも強い懐かしさでこの太った男に抱きついてしまいました。
「おお、郁坊、ここにいたかい、よくいてくれたなあ」
温かい手で、すぐ抱き取って、頬ずりをして可愛がる。その面はかがやいて、後光がさして来るようです。泣いていた子供も晴々して、ふいとこちらを向きましたが、竜之助を見ると泣きそうな面をして、
「怖い人――あそこに怖い人がいる」
指して示すと、抱いていた肥った男は慈愛にかがやく面をこちらに向けて、
「怖い人ではないよ、坊やのお父さんはあの人だよ」
「嘘だ!」
子供は、どうしても承知しません。
「嘘ではない、あの人は坊やのお父さんだけれど、坊やはあの人の傍へは寄れないのだよ」
「でも、坊には、お父さんはないと言ったじゃないか」
「父親のない子があるものか……坊やにも、お父さんもあれば、お母さんもあるだよ」
「お母さんもあるのかい……どこにいるんだい」
「それはなあ……」
「早く、そのお母さんのところへつれて行っておくれ」
「うむうむ、つれて行くとも」