Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠2

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠2 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.601 Zeichen · 387 Bildschirme

Aozora Bunko

さすがに腰の物だけは残されてあったが、懐中物の全部と、印籠までも盗られてしまいました。

あっと面色を変えたものもある、なあーにとさあらぬ体に落着いて見せるのもありました。しかし大変は大変でありました。旅に来て路用を失くすることは誰にしても好い心持はしない。ことに女にうつつを抜かしている間に、肝腎のものをしてやられたのでは、あまり芳ばしい土産話にはならないのです。五人のお客も内心の腹立ちと悄気方は一通りでないのですけれども、そこは時と場合で、そうクヨクヨ言ってもおられないのであります。

お客の方が困るばかりでなく、店の方ではなおさら困ります。伊勢の古市のこれこれへ行って盗賊にやられたという噂が立つのは、大楼の暖簾の手前もある、備前屋の主人は恐縮して、家の内と外とを隅から隅まで調べさせて、役人へも訴え出ようとするのをお客たちは差留めて、

「あればあったでよし、なければないでよいから、表沙汰にしてもらいたくない」

彼等には彼等の身分というものがあって、表向きにされた時に、かえって金銭には換えられない恥を取るという懸念もないではなかったようです。

別段に他から賊の入った様子が見えないこと、これが第二の不思議であります。