Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠7

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠7 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 242.044 Zeichen · 477 Bildschirme

Aozora Bunko

「君、絵がわかるかね」

とたずねたときに我にかえって、

「うむ、絵はわからねえけれど、筆つきが面白いなあ」

「そうか、一枚描いて上げようか」

「いらねえ――」

すげもなくいうと、絵師は、

「君は面白そうな男だ。いったい、拙者の絵を見ているのか、筆を見ているのか」

「うむ――」

米友は唸りました。改ってこう尋ねられてみると、ちょっと返答に困るのです。ナゼならば米友は、そんなに絵が好きではありません。この絵師の描いている画題そのものも、人の足を引留めるほどの奇抜なものでもなんでもないから、絵草紙屋の店頭をも素通りする米友が、ことにこれらの絵に向って、足をとどめねばならぬ必要は更にないはずです。そうかといって筆が好きだというのも、おかしなものですから、ちょっと吃って、

「筆つきがばかに気に入ったなあ」

「ははあ、では、やっぱりこの筆が気に入ったのだな。絵は要らないが、筆が欲しいというのか。そんならこの筆を上げよう」

といって描きかけた筆を米友の前に提示しました。米友は面喰って、

「俺らが筆を貰ったって仕方がねえ」

「それじゃ何が欲しいんだ」

絵師は頬かぶりの中から、巨眼をって、改めて米友の面を穴のあくほどながめたから、米友が少し癪にさわって、