Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠7
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠7 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 242.044 Zeichen · 477 Bildschirme
造船小屋には常に二頭の犬を飼って置いて、駒井は警戒と遊猟との用にあてているが、滅多にはない外来客がある時は、まずこの犬が吠え出しますから、隔たった番所にいて、駒井は犬の声によってまず、珍客のこの里へ訪れたことを知るのであります。
今日は早朝から珍客、箸を取りながら窓の外をながめると、激しく吠えていた犬の声が、急に弱音を立てて逃避するもののように聞えます。最初には珍客に向っての警戒と威嚇の調子で吠えていたのが、急に恐怖の調子に変ってきましたから、駒井は「敵が来たな」と思いました。敵というのは自分に対する敵ではない、犬共にとっての強敵が現われたのだということを、駒井は経験の上から覚って、直ちに他郷から彼等の同類の強敵が、ここへ入り込んだのだなと、箸を上げながら外を見ると、まもなく、二頭の飼犬が、後になり先になり、或いは吠え、或いは唸り、見慣れない一頭の巨犬を遠巻きにして、こちらへ進んで来るのを見受けます。
食事中、駒井はこの窓外の物々しい風景を興味を以てながめました。見慣れない一頭の犬は、ほとんど小牛を見るほどに大きく、逞しく、真黒な犬で、急ぎ足で、まさしく自分たちの番所の方へ進んで来るのに、二頭の番犬は、それを、ひたすらに恐怖しながらも、しかも自分の職責を怠るまいと、引きずられて来る有様です。