Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠7
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠7 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 242.044 Zeichen · 477 Bildschirme
ぜひなく、この当座の空駕籠は臨時のお客を入れて、再び小仏から摺差へ戻らねばならない羽目になりました。しかし、これは常ならばむしろ勿怪の幸いで、一人でも客にありついた商売冥利を喜ぶはずになっているのが、今の場合はそうではありません。
「摺差まで三里はございますけれど、この三里は下りでございますから、楽でございますよ」
以前に客を残して置いたところで、駕籠屋はワザと大声でいいました。
そこでこの駕籠は、結局以前のお客を置去りにして、新しい権威ある客を乗せて、三里余りの山道を戻ってしまうのです。駕籠が山の蔭にかくれた時分に、木立から立ち出でた最初の客、恨めしげにそのあとを見送っていましたが、やがて思い返して、前路に向って力足を踏むの覚悟。
人里に遠い夕暮の山道に取残されたとはいえ、足に覚えのある者ならば、上野原までの道は、さまでは苦にならないはず。
ところが、思いきって踏み出したこの覆面のさむらいは、思いのほかに足弱でありました。三町五町歩むうちに、その疲れ方が目立ってきて、腰の物が重過ぎる。この分で三里の山道は甚だおぼつかない。ましてその間には迷い易い幾筋もの岐路がある。