Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠7

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠7 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 242.044 Zeichen · 477 Bildschirme

Aozora Bunko

は、手に入ったものです。

そうして、まもなくすました面を、日野の渡し守の小屋の中へ突き出して、

「お爺さん」

「はい、はい」

道中師で通っているがんりきの百蔵は、ここの渡し守のおやじとも疾うからなじみで、言葉をかければ、響くほどの仲になっているのです。

渡し守の小屋の中へ身を納めて、土間に燃えた焚火の前へ腰をかけ、おもむろに腰の煙草入を抜き取った時分に、程遠からぬ街道の騒動が、渡し守のおやじの耳に入って来たものです。

「何だい、ありゃ、えらく騒がしいじゃねえかな」

寝ていたおやじが起き直ると、がんりきは、さあらぬ面をして、

「お爺さん、気をつけな、府中の宿は今、上を下への大騒ぎだぜ」

「え、府中の宿が上を下への大騒ぎだってな? なるほど、馬で人が駆けるわな、夜中に馬で飛ばす騒ぎは只事ではござるめえ」

おやじは、むっくりと起きて心配そうです。倅の家は府中の町はずれにあって、幾人かの孫もあるはず。

「只事じゃねえ、府中の町をひっくるめて、一軒別に家さがしが始まってるんだぜ」

「へえ、一軒別に家さがし……なんです、泥棒ですか、駆落ですか」

「さあ……」

がんりきは尋ねられて、はじめて当惑しました。