Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠7
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠7 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 242.044 Zeichen · 477 Bildschirme
「何だって」
がんりきが飛び上ったのは、よくよく胸にこたえるものがあったと見えます。
「ええ、出羽の庄内で十四万石、酒井左衛門尉様のお手がついたお部屋様を、悪者が盗み出して、そうして、この甲州街道を逃げたということですよ」
「やい、ばかにするな、そのことならおれが知ってるんだ」
がんりきは眼の色を変えて飛び出そうとするから、渡し守のおやじが呆気にとられて、
「親方、お前さん、それを知っておいでなさる?」
「知ってるとも。知らなけりゃ、どうしてこんなことが聞いていられると思う、ばかばかしいにも程があったもんだ、昨夜もそれを考えて、ひとりで思出し笑いをしていた奴はどこにいる、先手を打たれて眼の前で騒がれながら、いい心持でどぶろくを飲んでいりゃあ天下は泰平だ、面を洗って出直さなけりゃあ、とても明るい日の下を歩けるわけのものじゃねえ」
こういって、がんりきの百蔵は道中差をつき差すと共に、小屋の外へ飛び出して、いきなり多摩川の流れで、ゴシゴシと自分の面を洗いはじめました。
十一
やや暫くあって、村山街道の方面から、八幡太郎の欅並木を、なにくわぬ面をして、府中の町へ入り込もうとするがんりきの百蔵を見ることができます。