Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠7
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠7 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 242.044 Zeichen · 477 Bildschirme
多摩川べりから大廻りに廻って、宵に逃げ出したあぶないところへ、再び足を踏み入れようとするこの男の心の中は、渡し守から聞かされた昨夜の事件の内容で、自分ながら呆気に取られると共に、むらむらと例によっての功名心に油が乗り、わざわざこうして取って返したもので、取って返した以上は、必ずしるしを挙げて、我ながら気の利いて間の抜けた昨夜のしくじりを取り返そうという自信のほどが、鼻の先にうごめいている。
「いけねえ、草鞋が切れちゃった、幸先がよくねえや、ちぇッ」
八幡太郎の欅並木のとっつきで、草鞋のちの切れたのを舌打ちして忌々しがったが、まだ夜明け時分ではあり、近いところに店もなし、当惑して見廻すと、馬頭観音のささやかなお堂の前につるしてあるのが奉納の草鞋です。
「これ、これ、これを御無心申すことだ」
といって百蔵は、堂の前へやって来て、自分の草鞋を脱ぎ捨て、奉納の草鞋を抜き取り、それに紐を通して、例の片手で器用に穿いてしまうと、何と思ったか、そのまま立たないで、堂の戸前へ腰を卸し、
「いつ見ても、この欅並木はたいしたものだ、八幡太郎が奥州征伐の時に植えたということだが、八幡太郎は今から何年ぐらい前の人だか知らねえが、まあ、ざっと千年も経つかな、見たところ、千年は経つまいがな、何しろ、欅としては珍しい方だ。