Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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かのうせいのぶんがく

夫婦善哉

織田 作之助

Lesen Sie 夫婦善哉 (かのうせいのぶんがく) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 47.834 Zeichen · 94 Bildschirme

Aozora Bunko

巡航船に赤い旗がついているのを見て、お前も薄汚れた俥にそれと似た旗をつけて、景気をつけたものの、客は正直で、同じ二銭五厘で乗る分にはと、やはり速い巡航船の方をえらんだ……とわかった途端に、お前は流しの方へ逆戻った。が、何分取締りがきびしくて、朦朧も許されず、浮かぬ顔をして、一里八銭見当の俥を走らせていたらしかったが、さすがにいつまでもそんなことをしている気のなかった証拠には、……ここらあたり、「真相をあばく」も存外誤植がすくない故、手間を略いて、そのまま借用させてもらうと、――

ある日、玉造で拾った客を寺町の無量寺まで送って行くと、門の入口に二列に人が並んでいた。ひょいと中を覗くと、それが本堂まで続いていたので、何と派手な葬式だが、いったいどこの何家の葬式かと、訊いてみると、

「――阿呆らしい。葬式とちがいまっせ。今日はあんた、灸の日だんがな」

と、嗤われた。が、丹造は苦笑もせず、そして、だんだん訊くと、二、三、四、六、七の日が灸の日で、この日は無量寺の紋日だっせ、なんし、ここの灸と来たら……途端に想いだしたのは、当時丹造が住んでいた高津四番丁の飴屋の路地のはいり口に、ひっそりひとり二階借りしていたおかね婆さんのことだ。