Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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かのうせいのぶんがく

夫婦善哉

織田 作之助

Lesen Sie 夫婦善哉 (かのうせいのぶんがく) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 47.834 Zeichen · 94 Bildschirme

Aozora Bunko

お人善しだとお前が思っていたおれの肚の中は、こんな風だったのだ。それを、損害賠償の請求とは、相手を知らぬ可愛いい振舞いを、お前もしたものじゃないか。普通、恩を知っている者なら、そんな五十円の賠償金なぞ請求できぬところを、そうしたのは、余程おれを甘く見たのだろうが、そうはおれは甘く出来ていなかった。いや、ただ甘く見たのではあるまい。それがお前の流儀なのだ。ちょっと余人では真似の出来ない神経なのだ。図太いというのもちょっと違う。つまりは、一種気が小さい方かも知れない。ともかく、滑稽だった。勿論おれはそんな請求には応じなかった。黙って放って置くと、それきりお前はうんともすんとも言って来なかった。

三

船場新聞を廃刊してしまうと、お前はすっかり文無しで、たちまち暮しに困った。どうするかと見ていると、お千鶴は家で手内職、お前はもと通り俥をひいて出て、まるで新派劇の舞台が廻ったみたいだった。

当時、安堂寺橋に巡航船の乗場があり、日本橋まで乗せて二銭五厘で客を呼んでいたが、お前はその乗場に頑張って、巡航船へ乗る客を、俥の方へ横取りしようと、金切声で呶鳴っていた。