Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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かのうせいのぶんがく

夫婦善哉

織田 作之助

Lesen Sie 夫婦善哉 (かのうせいのぶんがく) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 47.834 Zeichen · 94 Bildschirme

Aozora Bunko

と、いかにもがっかりした顔だった。釣られて、

「――では、何かうまい話でも……?」

と、きくと、実は砂金の鉱区が売物に出ているという。銀主を見つけて、採取するのもよし、転売しても十倍の値にはなるとの話に、丹造の眼はみるみる光り泪一つこぼさず、三味線の心得あるを倖い、お千鶴をしかるべきところへ働きに出した。そして砂金の鉱区を買ったが……。

写していて、よくもまあ、お前という人間のいやらしさにうってつけの文章だと、あきれるくらいだが、さて、そうやって砂金の鉱区を買ったものの、ここでも未だ運は向かなかったらしい。

お前が大阪から姿を消してしまってから二年ばかり経ったある日、御霊神社の前を歩いていると、薄汚い男がチラシをくれようとした。

どうせ文楽の広告ビラだろうくらいに思い、懐手を出すのも面倒くさく、そのまま行き過ぎようとして、ひょいと顔を見ると、平べったい貧相な輪郭へもって来て、頬骨だけがいやに高く張り、ぎょろぎょろ目玉をひからせているところはざらに見受けられる顔ではない――すぐお前だとわかった。倭小な体躯を心もち猫背にかがめているのも、二年前と変らぬお前の癖だった。