Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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きかいなさいかい

奇怪な再会

芥川 竜之介

Lesen Sie 奇怪な再会 (きかいなさいかい) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.996 Zeichen · 43 Bildschirme

Aozora Bunko

――どうしてはいって参りましたかしら。」

「お前はちっとも知らなかったの?」

「はい、その癖ここにさっきから、御茶碗を洗って居りましたんですが――やっぱり人間眼の悪いと申す事は、仕方のないもんでございますね。」

婆さんは水口の腰障子を開けると、暗い外へ小犬を捨てようとした。

「まあ御待ち、ちょいと私も抱いて見たいから、――」

「御止しなさいましよ。御召しでもよごれるといけません。」

お蓮は婆さんの止めるのも聞かず、両手にその犬を抱きとった。犬は彼女の手の内に、ぶるぶる体を震わせていた。それが一瞬間過去の世界へ、彼女の心をつれて行った。お蓮はあの賑かな家にいた時、客の来ない夜は一しょに寝る、白い小犬を飼っていたのだった。

「可哀そうに、――飼ってやろうかしら。」

婆さんは妙な瞬きをした。

「ねえ、婆や。飼ってやろうよ。お前に面倒はかけないから、――」

お蓮は犬を板の間へ下すと、無邪気な笑顔を見せながら、もう肴でも探してやる気か、台所の戸棚に手をかけていた。

その翌日から妾宅には、赤い頸環に飾られた犬が、畳の上にいるようになった。

綺麗好きな婆さんは、勿論この変化を悦ばなかった。