Japanische Klassiker mit Furigana
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きだんクラブ〔せんごばん〕
奇談クラブ〔戦後版〕
野村 胡堂
Lesen Sie 奇談クラブ〔戦後版〕 (きだんクラブ〔せんごばん〕) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.177 Zeichen · 22 Bildschirme
フィナーレ
そして、驚き呆れる聴衆に向ってこう言うのでした。
「私はこの儘死ぬかも知れない、――ひどい喀血だ、――が、死ぬ前に一言、芸術の神聖のために言って置く、――『お江戸ファンタジー』と『にっぽんシンフォニー』の二曲は、あれは左近倉平の作曲でなない、――左近倉平は山師でペテン男で、小器用な小唄は作れるが、本格の大曲などを作れる人間ではない、――あれは皆んなこの深沢深の作曲したものだ。左近倉平はそれを、この深沢の貧乏につけ込んで、一曲五十円ずつで買い取ったのだ。ただ併し、発表の名誉は左近倉平のものでも、芸術そのものはこの深沢深のものだ。丁度花嫁銀子の肉体は左近倉平のものでも、あの魂はおれのものだと同じように――だがおれはもうだめだ」
そう言いかけた深沢沢は、二度目の喀血に力尽きて、舞台の上に崩折れてしまいました。
フィナーレ
「それから、どうなったかと仰しゃるのですか、――それは皆様も大方御存じでしょう。左近倉平は一ぺんに名声を失って、行方不明になり、銀子はそれっ切り夫のある寡婦になってしまいました。
深沢深は我々友人達の介抱で、ひどい喀血でしたが幸に助かって、今は湘南のある別荘で静養しておりますが、もう心身共に健康を取り戻して、次の大作に取りかかっております。