Japanische Klassiker mit Furigana
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きだんクラブ〔せんごばん〕
奇談クラブ〔戦後版〕
野村 胡堂
Lesen Sie 奇談クラブ〔戦後版〕 (きだんクラブ〔せんごばん〕) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.447 Zeichen · 21 Bildschirme
その中に一ときわすぐれて背の高いのは京姫の――真珠色の物の芽のような姿でした。色白で華奢で、なまやかでさえありますが、その弱々しい外貌にカモフラージュされて、――後のこの姫の飛離れた行状でも証明されることですが、――世にも魅惑的な匂いと、人知れぬ情熱とを持った、比類の無い個性の持主でもあったのです。
田鶴と呼ばれた腰元は、一生懸命朋輩を追い廻しましたが、肥っちょで少しばかり魯鈍なせいか、なかなか捉まるようなのはありません。眼隠しをしたままヘトヘトになって、一叢の躑躅の蔭に崩折れていると、
「田鶴さん、――私を捉まえちゃ嫌よ――黙って聴いていらっしゃい、良いことを教えて上げるから」
いきなり藪を隔ててこう囁く者があります。
「誰?」
「誰でも宜いじゃありませんか――黙って聴いていらっしゃい――鬼になり度くてたまらない人があるんだから」
「え? それは本当」
「誰が嘘を言うものですか、――教えて上げましょう、鬼になり度いというのは――」
「――――」
「誰も捉まえてくれない方、何時まで盲目鬼をやっていても、自分だけは捉まえてもらえないお方――お姫様よ」
「えッ」
「驚かなくたって宜いワ、そっと眼隠しをずらして、見当をつけて置いて、お姫様をつかまえて御覧なさい、それはそれはお喜びになるから」