Japanische Klassiker mit Furigana
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きだんクラブ〔せんごばん〕
奇談クラブ〔戦後版〕
野村 胡堂
Lesen Sie 奇談クラブ〔戦後版〕 (きだんクラブ〔せんごばん〕) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.841 Zeichen · 22 Bildschirme
その物音に驚いて、バタバタと飛んで来たのは、五十七八の老武士でした。
「あッ、これは?」
この有様を一と目、暫らくは凝然として立ち縮むばかりです。
「御家老様――あなたは、御家老の高塚蔵人様というんでしょう、――御覧の通り殿様は此私がやっつけましたよ――私? 私は中村新八郎という役者ですよ」
「――――」
「幾人の娘を人身御供に上げて、一年経てば蟲のように殺してしまった殿様、今まで生きて居たのは少し寿命を儲け過ぎましたよ。さア、斬るなり突くなり縛るなり、どうとも勝手にして下さい。――私は江島屋のお菊さんと二世を言い交した仲だ。御所刑場へ引出されると、大きい声でそいつを怒鳴るかも知れませんよ」
「――――」
家老高塚蔵人は、黙ってこの女装の青年、中村新八郎を見据えて居りました。それに対して、血染めの匕首をカラリと投げ捨て、観念し切った顔を挙げた、女装の中村新八郎の美しさ。
「さア、何んとかして下さい。御家老、私を成敗すれば、その代り夜の明けないうちに村々の訴人が江戸へ飛んで行って、殿様の悪政振りを龍の口に訴え出ますよ、――だから私を助けてくれなんてケチな事を言やしません。