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Japanische Klassiker mit Furigana

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きだんクラブ〔せんごばん〕

奇談クラブ〔戦後版〕

野村 胡堂

Lesen Sie 奇談クラブ〔戦後版〕 (きだんクラブ〔せんごばん〕) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.841 Zeichen · 22 Bildschirme

Aozora Bunko

六

「あれは?」

大膳正、手に持った扇で踊の輪を指しながら、思わず立ち上ったのも無理はありません。

城下のある村から出た一隊の中に交って、一と際見事な踊り手の一人が、大膳正ならずとも、すべての眼をひかずには居なかったのです。

遠くなり近くなる踊りの輪の具合で、それは十七八とも二十歳近いとも見えましたが、すぐれて高い背も美しく、差す手、引く手、返す肩、捻る腰、すべての線の躍動する見事さ、雲を踏むかと、足取りの軽さ。大きい眼に篝が燃えて、僅かに開いた唇に紅芙蓉が咲くと見た瞬間、不用意に莞爾すると、傾けた頬にトロリとえくぼが出来て、その可愛らしさというものはありません。

「あれだ、紋弥、あの娘をつれて参れ――踊はもうよい」

六

踊の輪から引き抜かれた娘は、そのまま奥御殿に導かれました。

其処には、ざっと酒肴を用意して、殿――大膳正を待っている様子。隣の部屋を覗くと、恐ろしく贅沢な夜の物に、金環の蚊帳が霞んで、絹行灯の灯がほのぼのと照らして居ります。

間もなく衣服を改めて、大膳正が入って来ました。四十近い脂切った肉塊で、娘に近くどっかと坐ると、もう昼から飲み続けの酒の息が、どぶ臭く娘の顔を打ちます。