Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
奇譚 銭形平次 「銭形平次捕物控」傑作選
野村 胡堂
Lesen Sie 奇譚 銭形平次 「銭形平次捕物控」傑作選 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 31.249 Zeichen · 62 Bildschirme
外で何か物音がしたと思うと姉は急にソワソワして、自分の部屋へ行っていつも好きで着るちょいちょい着の銘仙の袷と着換え、あわてて外へ出ようとするので、――姉さん今頃どこへ行くの――と訊くと、あのちょいとそこまで――と、ろくに返事もせずに出かけましたが、間もなく井戸端のあたりで、姉さんの声で私を呼ぶような、変な押し潰されたような声がするので、お仕事で使っていた手燭を持って飛び出して見ると――」
お吉はそこまで言って、さすがに絶句しました。昨夜の恐ろしい光景を思い出したのでしょう。この娘は見掛けの弱々しい可愛らしさに似ず、性根に確かりしたものがあるらしく、昨夜の話も整然として筋も乱れません。
「お吉の大声を聞いて私も店から飛んで来ましたが、その時はもうお君はこと切れて、正体もありません。お吉は木戸の外にチラと人影が見えたようだと、すぐ往来へ飛んで出ましたが、まもなく戻って参りました。それから間もなく――」
父親の市兵衛もここまで話して来て、言葉は涙の洪水に押し流されるのでした。
「――そのとき死骸の側に、伝馬町の万次という野郎がウロウロしていたというんだ、――男っ振りは好いが、一向他愛のない安やくざだよ。