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Japanische Klassiker mit Furigana

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ちぎりきぬ

契りきぬ

山本 周五郎

Lesen Sie 契りきぬ (ちぎりきぬ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 32.757 Zeichen · 66 Bildschirme

Aozora Bunko

そうしていねに含められていたのだろう、そのつもりなら今のうちのほうが楽だからと、すぐにもその手筈をつけようとするようすだったが、おなつはきっぱりと断わった。いねは側にいて励まし、勇気を出すようにと云った。

「だってあんたそんな子を抱えて、ゆくさき苦労するばかりじゃないの、諦めなさい」

「――あたし産みたいんです」

「そこを考えなくちゃだめよ、あんたならこれからだってきっと良い縁があるわ、どんなにだって仕合せになれるんだし、それに、――生れてくる者のためにだって、そうするのが慈悲というものだわ」

しかしおなつは眼をきらきらさせ、反抗するような姿勢で「どうしても産む」と云い張った。――いねは自分が子を産んだ経験がないので、おなつの感情を理解することができなかったのだろう、明らかにいやな顔をし、また四五日はきげんが悪かった。……だがやがて思い当ることがあったらしい、ある夜さし向いになったとき、おなつの眼を見て頷き、しみじみとした口ぶりで云った。

「心配しなくてもいいのよ。体に気をつけてね。――丈夫ないい赤ちゃんを産みなさいね、――あたしついど忘れしていたのよ、あんたがそのひとの家を出たときの気持、……いつか聞いたわね、――あんたはそんなにも本気だったんだものね」