Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おくさまとおんなこじき

奥さまと女乞食

小川 未明

Lesen Sie 奥さまと女乞食 (おくさまとおんなこじき) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.070 Zeichen · 9 Bildschirme

Aozora Bunko

なにか、ほかのことに気をとられて、うっかりしていた女中は、はっとして気づくと、奥さまの買ってきてくだされた、坊ちゃんの新しい帽子が、ぬかるみの中に落ちて、だいなしになっているので、

「まあまあ、お坊ちゃま、たいへんじゃございませんか……。」といって、あわてて拾い上げたけれど、どろがびったり、帽子についていました。

女中は、さっそく、帰って、このことを奥さまに告げ、そして、水で、帽子を洗って、窓の外の日当たりに出して、乾かしておいたのであります。

冬の天気は、また、陰って、雪となりました。奥さまは、障子の閉まった、へやの中で、熱心に仕事をしていられました。そのとき、窓の外で、人のけはいがして、

「あか、あか、坊ちゃんのきれいな、あかいお帽子だこと……。」

「いいお帽子だこと。あたたかそうなお帽子だこと……。」

こういって、脊中の子供に、いっているのは、まさしく、こないだの女乞食でありました。奥さまは、乾かしてある帽子を見て、なにかいっているのだろうと思われました。しかし、そのときは、いそがしかったので、奥さまは、だまって、外の声を聞きながら、仕事をしていられました。