Japanische Klassiker mit Furigana
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おくさんのいえで
奥さんの家出
国枝 史郎
Lesen Sie 奥さんの家出 (おくさんのいえで) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.851 Zeichen · 28 Bildschirme
私は用心しないことにした。
で私は依然として、ノロノロ歩いて行く青年であった。
「おや、変なものが立ってるなあ」
が、仔細に見なくとも可かった。そうして大して変なものでもなかった。
四方金網で張り廻わされた、水禽小屋に過ぎなかったのだから。とはいえ小屋の頂が、――その高さ約二間、(名古屋を見ることは出来なかったが、幅一間半、奥行二町、云い古るされた形容詞だが、鰻の寝床を想わせるような、この遊園地全体を展望するには頃加減の)そんな展望台になっていたのだから、矢っ張り「変なもの」と云ってよかった。
コンクリートで造られた瓢箪池、その池の中の濁った水、そこに浮いている二羽の鴛鴦、そこに我鳴っている二羽の鵞鳥、水禽小屋にいるものといえば、ざっとどころか文字通り、四羽の水禽に過ぎなかった。
「咎めては不可ない咎めては不可ない、入場料は二銭なのだ。二銭を標準にして見る時は、この水禽小屋も四羽の水禽も、立派な見世物と云わなければならない」
私はこんなことを思い乍ら、水禽小屋の前に立っていた。
「価値以上のものを需めるところに、文明の崩壊があろうと云うものさ」
こんなことも考えていたようである。