Japanische Klassiker mit Furigana
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おんなきしゃのやくわり
女記者の役割
野村 胡堂
Lesen Sie 女記者の役割 (おんなきしゃのやくわり) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.039 Zeichen · 32 Bildschirme
一
一
「オヤお揃いだネ」
カフェー人魚の闥を押して、寒い風と一緒に飛込んで来たのは、関東新報記者の早坂勇――綽名を足の勇――という、筆より足の達者な男でした。
「早坂君かい、どうだい景気は」
声を掛けたのは、高城鉄也という、東京新報の花形記者で、足の勇とは商売敵に当るのですが、敵愾心よりは友情の方をどっさり持って居ようという、優秀な感じのする若い男でした。
「ボーナスかい、いやもう、とても費い切れないほど貰ったよ、少し融通しようか」
「あら、早坂さん大変な景気ね」
「イヨウ、女史も御一緒か、珍らしい事があるものだネ」
二三人の新聞記者に囲まれて、華やかな笑顔を向けたのは、園花枝という同じ大東京新報の婦人記者、筆の立つのと素性のわからないのと、それよりもズバ抜けて美しいので有名な女でした。
わざと職業婦人らしく、ほのかに葡萄がかった灰色薄ラシャの地味な洋装に、美しくウェーヴさした毛を、白い頸筋の上へ無造作に束ね、黒毛の大外套を椅子の凭れへはね退けた、名ある踊子にも無いような、美しい両足を卓子の外へ重ねて、外らせた様子は、少しお転婆ではあるが、またなくスマートに可愛らしい感じのものでした。