Japanische Klassiker mit Furigana
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ことうのおに
孤島の鬼
江戸川 乱歩
Lesen Sie 孤島の鬼 (ことうのおに) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 181.795 Zeichen · 359 Bildschirme
そうしている内に、段々「お父つぁん」という人物の、えたいの知れぬ恐ろしさが、一寸法師や友之助が、あんなに恐れ戦いた訳が、北川氏にも少しずつ分って来る様な気がした。一寸法師の物の云い方が不明瞭なので、確な形を掴むことは出来なかったけれど、ある場合には、それは人間ではなくて、一種の不気味な獣類という感じがした。伝説の鬼というのは、こんな生物をさして云ったのではないかとすら思われた。一寸法師の言葉や表情が、おぼろげに、そんな感じを物語っているのだった。
又「箱」というものの意味も、ぼんやりと分って来る様であった。ほんの想像ではあったけれど、その想像にぶっつかった時、流石の北川氏も余りの恐ろしさに、ゾッと身震いしないではいられなかった。
「俺は、生れた時から、箱の中に這入っていたんだよ。動くこともどうすることも出来ないのだよ。箱の穴から首丈け出して、ご飯をたべさせて貰ったのだよ。そしてね、箱詰めになって、船にのって、大阪へ来たんだ。大阪で箱から出たんだよ。その時俺ぁ、生れて始めて広々した所へ出されたんで、怖くって、こう縮み上ってしまったよ」
一寸法師はある時、そう云って、短い手足を生れたばかりの赤ん坊みたいに、キューッと縮めて見せるのだった。