Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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まごしちとずんど

孫七とずんど

山本 周五郎

Lesen Sie 孫七とずんど (まごしちとずんど) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.189 Zeichen · 30 Bildschirme

Aozora Bunko

浜松を出てから三日めの早暁、城兵の銃撃をもって合戦の火ぶたは切られた。石原寸度右衛門は大久保新十郎と共に大手の先陣をつとめていた。槍組百騎をひっさげ、箭弾丸のなかを無二無三に突っ込んでいったが、これはむろんそのまま城へ乗っかけるわけではなく、いわば敵の勢力をさぐるのが目的なので、まっしぐらに二段ばかり突っ込むと、兵をまとめてひとまず土地の窪みへ退避した。あまりに敵の斉射がはげしいので、それ以上は無理にも進めなかったから、……かれらは窪地へとび込むと胸苦しいほど喘いでいた、鎧や具足の下はみんなぐっしょり汗だった。

「これはどうも……」ふと頭の上でのんびりした声が聞えた、「あぶないもんだな」寸度はびっくりしてふり返った、するとついそこに、柿ノ木孫七郎が立っていたので、こんどは本当にびっくりした。孫七は兜をはねて高紐にかけ、槍を片手に持って、大きな眼を糸ほども細くしてじっと敵陣のほうを見まもっている、寸度はわれを忘れて「やあ孫七か」と叫んだ。

「おまえ来たのか、やっぱり来たのか孫七」

「ああ来たよ」孫七は見向きもしなかった、「つまり来たから、しぜん此処にいるわけだ」