Japanische Klassiker mit Furigana
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いえ
家
島崎 藤村
Lesen Sie 家 (いえ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 126.748 Zeichen · 254 Bildschirme
お雪は肥え太った子供の首のあたりへ線香の粉にしたのを付けた。お房は怒って、泣いた。乳房を咬えさせて、お雪は沈んで了った。
田舎の盆過に、復た曾根は三吉の家を訪ねた。その時は一人でやって来た。水車の音も都会の人にはめずらしかった。暫時彼女は家の門口に立って、垣根のところから南瓜の生り下ったような侘しい棲居のさまを眺めた。
お雪は裏の柿の樹の下へ洗濯物が乾いたかを見に出た。直樹は遊びに出て居なかった。
「曾根さん――」
とお雪は女の客を見つけて、直に家の内へ案内した。
寂しくている三吉も喜んで迎えた。曾根が一人で訪ねて来たということは、ある目に見えない混雑を三吉の家の内へ持来した。曾根は、戸の間隙からでも入って来て、何時の間にか三吉の前に坐っている人のようであった。
「お雪、鮨でも取りにやっておくれ。それから、お前も話しに来るが可い」と三吉は妻の居る処へ来て言った。
「私なんか……」とお雪はすねる。
「そう言うものじゃないよ。ああいう人の話も聞くものだよ」
こう言って置いて、三吉は客の方へ戻った。
庭に咲いた松葉牡丹、凌霄葉蘭などの花の見える奥の部屋で、三吉は大きな机の上へ煙草盆を載せた。