Japanische Klassiker mit Furigana
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ずいひつ よせばやし
寄席囃子 正岡容寄席随筆集
正岡 容
Lesen Sie 寄席囃子 正岡容寄席随筆集 (ずいひつ よせばやし) von 正岡 容 (まさおかいるる) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 112.259 Zeichen · 222 Bildschirme
今日だから何もかもぶちまけてしまうが、あの頃私はなけなしのお金でお酒を飲み続け、大酔して夜、寝る時が一番辛かった。なぜならまた明日も現金払いで医者へ注射を打ちに行くがごとく、起きる早々みすみすお金をつかって一杯飲みに行かなければならなかったからである。とにかくいくらどんなに酔っていても、あくる朝になるとことごとく酒気はなくなっており、再び舌がもつれ、あらぬ強迫観念が起こりだす。つまりアルコール中毒者の場合は、宿酔の現象がいっさいなくなるらしい。さあそうなると舌のもつれを一時的に癒すため、すぐさま一杯引っ掛けなければならない。ところが私の流浪していた昭和初頭の頃、上方には東京のような酒屋の店頭で、一杯十銭の兜酒をきめ込むあの設備はできていなかった。始めからないのか。この頃からなくなったのか、いまだに私は知らないが、これは私のようなしごとのできなくなりつつあった懐中の乏しい中毒者にはじつにじつに不自由だった。十時頃安食堂のやっと開くのを見つけては飛び込み、不必要な肴(この肴代で二杯飲みたかったのだ)を取って、やっとどうやらお酒にありつく。従って、兜酒の三倍くらいのお金が一回にいる。